
ミュージック・マガジン7月増刊号
戦前音楽探訪
寺尾紗穂(著)
四六判288ページ/2025年7月1日発行[雑誌08480-7]
寺尾紗穂が日本の戦前音楽に分け入り、その豊潤な物語を浮き彫りにする──
独自の視座で社会と対峙し、多方面へ活躍を広げているシンガー・ソングライター/文筆家の寺尾紗穂が、知られざる民謡、わらべうた、流行曲などの日本の戦前音楽に分け入り、歴史的視点を交え、作詞/作曲家の人生まで掘り下げながら、その豊潤な物語を浮き彫りにする。著者ならではの深い洞察力と文才が冴えわたる、必読の音楽エッセイ集。書籍化を望む声を多数いただいていたミュージック・マガジンの人気連載(2019~2024年)が、書き下ろしを加えて一冊にまとまりました。日本の歌謡曲/音楽史に興味のある方すべてにおすすめします。
◆古謡の世界──「安里屋ユンタ」の変遷/盆歌に残る間引きの記憶 ほか
◆「世界」との出会い──海を渡ったマルフクレコード/ドヴォルザークと賢治 ほか
◆明治から昭和へ──田辺尚雄と「平安朝音楽レコード」/服部良一を育てた大阪 ほか
◆戦争と音楽──満洲国国歌と戦時歌謡/「爆弾位は手で受けよ」 ほか
◆つれづれなるエッセイ──人は太古の昔から集い、歌い踊ってきた/生者と死者 ほか
◆解説=大石始
<もくじ>
■ まえがき
■ 古謡の世界
□ 移民口説
□ 「安里屋ユンタ」の変遷
□ 「かっぽれ」の周辺
□ 竹富のプライドと「新安里屋ユンタ」
□ 山梨の「えぐえぐ節」
□ 海を渡った「五木の子守唄」
□ 「炭坑節」をめぐって
□ 盆歌に残る間引きの記憶
□ 「三九郎の歌」
□ 「浜子歌」
□ お前さんとならば
□ 「月ぬ可愛しゃ」
□ 性と死の盆歌
□ 逗子の「七草なづな」
□ 古謡と童謡のはざま
□ 「北海盆唄」と卑猥歌
■「世界」との出会い
□ 海を渡ったマルフクレコード
□ 中国民謡「太湖船」と軍楽隊
□ 「大きな古時計」
□ 宮城道雄の朝鮮体験
□ 堀内敬三
□ 日本版「虹のかなたに」
□ ドヴォルザークと賢治
■ 明治から昭和へ
□ 鳥取春陽
□ 女工たちの歌
□ 中山晋平の土着性
□ ハーモニカの隆盛
□ 田辺尚雄と『平安朝音楽レコード』
□ 服部良一を育てた大阪
□ 小唄勝太郎
□ 浅草オペラ
□ 武井守成
□ 読経のSPレコード
■ 戦争と音楽
□ 「隣組」
□ 長谷川一郎
□ 「象徴」になった平成天皇の歌
□ 好戦歌にも発展した「梅が枝節」
□ 岡本一平の「翼賛親子」
□ 満洲国国歌と戦時歌謡
□ 音楽に罪はないのか──「君が代」と「海道東征」
□ 「支那の花嫁」
□ 灰田勝彦の歌
□ 永田絃次郎の玄海の歌
□ 「李さん王さん」
□ 「爆弾位は手で受けよ」
□ 特攻隊が作った替え歌
□ 「めんこい仔馬」
□ 幻の花蓮港音頭
□ 村の常会とSPレコード
□ 音楽が利用されるとき
□ 桃太郎とラジオ体操
□ 「南から南から」
□ 上野駅と東北
□ 北原白秋のナチス礼賛
□ 時雨音羽の「チンライ節」
■ つれづれなるエッセイ
□ 人は太古の昔から集い、歌い踊ってきた
□ 「愛してる」と歌うこと
□ 「聖者の行進」
□ 『この世界の片隅に』
□ あきれたぼういず
□ 『椿の海の記』
□ 忘れられた歌姫
□ 二人の女性作曲家
□ 明治のオルガニスト
□ 生者と死者
□ 著作権の野蛮
■ 解説(大石始)